何を求めて生きるか(2000年)
このたび「何を求めて生きるか」と題する福音メッセージ集を出版することになりました。二十世紀も終わり、新しい世紀を迎えようとするときに際してこの本を出版できたことは、主イエス様のお導きによるものと感謝し、主の御名を心から賛美いたします。
今、二十世紀の終わりに立って改めて今世紀を振り返ってみますと、この百年は一口に言って科学技術の著しい進歩の世紀であったと言うことができます。この科学技術の進歩は産業、経済、情報通信、医学などあらゆる分野に及び、私たちの生活を大きく変えました。その結果、私たちの生活はこの世紀の間にたいへん便利に、快適になりました。しかし、いっぽうで今世紀は争いと殺戮の世紀とも言われるように、国家間、民族間の争いが絶えることなく、それによって多くの尊いいのちが失われました。また地球環境の破壊による気象異変とそれによる自然災害の増加、道徳心の喪失に基づいて生じたさまざまな問題や犯罪の増加、貧しい国では飢餓による大量死や著しい栄養失調、先進国では高齢者の著しい増加によって生じる医療や介護を含む老人に関わるさまざまな問題などが新たに生じています。このように今世紀は物質的にはたしかに多くの人々に豊かさをもたらしましたが、それと引き替えに私たちは大きくかつ深刻なこれらの負の遺産を背負うことにもなりました。
では来年から新しくはじまる二十一世紀にはどのような明るい展望が期待できるでしょうか。残念なことに、二十世紀から受け継がれたこれらの負の問題は政治的にも、環境的にも、社会的にも容易に解決できるものではなく、むしろ新しい世紀にはさらに厳しさと混沌の度が増し加わるものと思われます。このような時代に生きる私たちは、この矛盾の中で真剣に生きようとすればするほど、生きる目標と喜びと希望を見つけることが難しく、苦しみ悩むのではないでしょうか。
しかし、万物の創造主として、すべての被造物を支配しておられる生ける神のみことばである聖書には、なぜこの世界がこのように混沌とした状態になったのかという理由と、どうすればこの暗やみの中に光を見いだすことができるか、どうすれば喜びと希望と平安に満ちた生き方ができるかという、人間にとってもっとも大切なメッセージが明確に記されています。「何を求めて生きるか」と題するこの本は、これまで私がキリスト集会や家庭集会で聖書のみことばをわかりやすくお話ししたメッセージの中から十二篇を選んで編集したものであり、この中には前に述べましたことへの解答がすべて含まれております。どうかお読みになるお一人おひとりの心にこの本をとおして神様が働いてくださり、まだイエス・キリストを信じておられない方も、またすでに信じておられる方も、この世界に生きる私たち一人ひとりに対するあわれみと愛に満ちた神様の大きな深いみこころを、ぜひとも知っていただきたいと心から祈る次第です。
今回の本の表紙には、画家である三浦泉兄弟がお描きくださった、「再会」と題する樹木の油絵を用いさせていただきました。この絵は一本の樹のように見えますが、三本の樹が縦に重なった一本の樹として表わされており、十八年前に天に召された愛する娘まりと私たち夫婦との天の御国での再会を三浦兄がこのように表現してくださいました。表紙のデザインの労もとってくださり、また中見出しとしてイギリス取材旅行の際のスケッチをも提供してくださった三浦兄に心から感謝いたします。また、この本の出版について終始協力し、祈ってくれた妻都代子に感謝します。
二〇〇〇年十二月
重田定義