The Gift of Magi
賢者の贈り物 オーヘンリー ミニ劇場
【PART−1】
きょうは、クリスマスイブ。アメリカのとある小さな町のアパート。 デラは 泣いています。
恥ずかしいのをこらえて値切ったり、苦労してためたお金は、何度数えても1ドル87セント。
大好きなご主人のジムへの、プレゼントがそれでは買えません。
もう一度数えてもやっぱり1ドル87セント。
クリスマスイブに、プレゼントを買うお金もないなんて、デラは、いつのまにか泣いていました。
【PART−2】
泣いていたのが しくしく泣きになって、鏡で涙を拭いていたとき。デラは、自分の長い髪の毛。栗色
の自慢の髪の毛を見て思いつきました。
この貧しい夫婦には、ふたつの宝物がありました。
デラの栗色の髪の毛と、ジムがおじいさんから
受け継いだ立派な金時計です。
【PART−3】
ここは、町の美容院。デラは、マダムに尋ねます。
「この髪の毛、買ってくださらないかしら。いくらになるかしら。」
「 まあ、ほんとうに切っていいのかい。20ドルは払えるわよ。」
「お願いします。すぐに20ドルがいるんです」
【PART−4】
髪の毛が短くなって変な感じで寒いけど、デラは、うれしくなりました。だって、ジムの金時計に
ついていたよれよれの革紐。ジムが時間を見るとき恥ずかしがってたけど。
いま、21ドルで買ったプラチナの鎖はなんて素敵なの。
【PART−5】
家について、21ドルの買い物をした興奮がさめると、デラは急に不安になりました。
こんな髪の毛になった私を、ジムは嫌いにならないかしら。
「イエス様、天のお父さま。ジムがやっぱり私を好きで、そしてできたらやっぱりきれいだと
思ってくれますように。」
【PART−6】
ジムが帰って来ました。お部屋に入ってドアを閉めて、短い髪の毛になったデラを見ると、ジムは
動かなくなって、かたまりました。怒っているので驚いているのでも責めているのでもこわがっている
のでもありません。
「ジム、わたし髪の毛を売っちゃったの。だってクリスマスなのに、あなたにプレゼントができない
なんて。わたしが、あなたにどんなに素晴らしいプレゼントを買ったか、知らないでしょう。」
「デラ き きみの髪の毛が短くなっちゃったんだね。」放心したようにジムは語ります。
【PART−7】
ジムは ポケットから小さな包みをを出しました。「髪の毛を切ったくらいで、ボクが君を愛したり
愛さなかったりなんてないんだよ。でも、その包みを開けたら、ボクがびっくりした理由がわかるよ。」
【PART−8】
包みを開けた デラは わっと喜びが広がりました。 デラがずっと欲しがっていた。長い髪にたてに差す
くしと、横にさすくしのセット。べっこうでできていて、宝石がついています。栗色のデラの長い髪の毛に
ぴったり。デラの憧れでした。そして、デラは、このくしを差す長い髪がもうない事に気が付くと
泣きだしてしまいました。
【PART−9】
デラ だいじょうぶだよ。髪の毛はまた伸びるよ。プレゼントは、それまでしまっておこうよ。
そうだ、デラ、ぼくへの素敵なプレゼントってなんないだい。
【PART−10】
デラは、両手にのせて、21ドルで買った時計の鎖を 見せました。プラチナの鈍い光がデラの
心の輝きのようでした。
「どう すばらしいと思わない。これからは、あなた。一日に100回も、時計が見たくなるわよ。
さあ、。時計を貸して ジム。」
【PART−11】
ああ、デラ。ごめんね。ぼくには、もうその素敵な鎖をつける時計がないんだ。 君が髪の毛を売って
しまって、時計の鎖を買っているとき、ボクは、時計を売って髪の毛につけるくしを買っていたんだよ。
ああ、ジム。わたしたちって・・。
【PART−12 LAST】
みなさん 髪の毛の短くなったデラへの くしのプレゼント
時計がなくなったジムへの 時計の鎖のプレゼント
ふたりの プレゼントは、大失敗のプレゼントでした。
けれども オーヘンリーは、この物語に、 賢者のプレゼント と言うタイトルをつけました。
マギは、東方の博士。賢者のことです。、 イエス様がお生まれになった馬小屋に黄金 乳香 没薬
の 世界で最初で最高のプレゼントを届けた マギ。
どうして、大失敗のプレゼントが 賢者のプレゼントなのでしょう。
ふたりは、目には見えませんが、お互いにとっても大きな大きなものをプレゼントしました。
聖書の中にも、わたしたちへの大きなプレゼントが用意されています。
このコンサートが、それを発見するきっかけになりましたら、幸いです。
これで、この物語を終わります。